2023年冬アニメ 中間評価

2023年冬アニメ6〜8話までの評価。

 

評価

SSS:(該当なし)

SS :(該当なし)

S+:もういっぽん! ヴィンランド・サガ SEASON 2 ブルーロック 

S:お兄ちゃんはおしまい! 転生王女と天才令嬢の魔法革命 虚構推理 Season2 TRIGUN STAMPEDE D4DJ All Mix 僕とロボ子

A:陰の実力者になりたくて! クールドジ男子 REVENGER 痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。2 にじよん あにめーしょん

B:NieR:Automata Ver1.1a HIGH CARD 大雪海のカイナ 

C:(該当なし)

 

S+

もういっぽん!

7話まで。

これ。よりもいとユーフォニアムが大好きな人間なので見事に嵌った。

ここまで真っ直ぐに青春を描かれると、自分みたいな”青春もの大好き人間”は評価せざるを得ないんですよね。一本をとる気持ちよさを知ってしまったから、先輩と仲直りがしたいから、幼なじみと一緒に部活したいから、だから柔道をする……そんな高校生たちの青春のなんと眩しいことか。

青春という限られた時間を、目一杯楽しむために、後悔しないために……そのためなら、一見不合理に見える決断だって出来てしまう。それが青春というもので。キラキラ輝いていて、可能性に満ちていて、ドラマチックで、だけど最後は明るく前向きで。そんな青春の魅力がグッと詰め込まれた素晴らしい作品だと思う。

決してリソースは十分じゃないと思うけど、柔道シーンではカメラワークの凝った印象的なカットをいくつか見せてくれているし、組み手や投げの作画も丁寧で、本当にアニメ制作陣が頑張ってくれているんだろうなと。そして原作の良さを存分に引き出すアニメ化ができているんだろうなと。今期このアニメがあってくれて良かった。

 

ヴィンランド・サガ SEASON 2

7話まで。話の進みは遅いけれど、そんなことも関係なく見入らされる。当時の世相と価値観と人間の内面の描き方が尋常ではない。人間ドラマを作るのが本当に上手い作品だなと。キャラクターがキャラクターである以上に、”人間”として深く深く描かれているからこそ出てくる面白さがそこにある。

歴史をなぞるパートが1話でサクッと終わって、すぐに農奴編に戻ってくる辺り、今作が描きたいのはあくまでもトルフィンなんだなと。歴史そのものではなく、あくまでもその時代を生きた人の物語を描きたいんだなと。厳しい世界で繰り広げられる人間ドラマをこれからも楽しみにしたい。

 

ブルーロック

19話まで。TL上じゃあまり話題になっていない気がするけど、もっと評価されていいと思う。主人公の覚醒とキングの失墜、からの悪役としての再起を描いた18話は本当に熱かった。

個人の成長と、チームとしての戦略、キャラクター同士の関係性。この全てを試合の中で描き切ることのできる「奪敵決戦(ライバルリー・バトル)」システムが、見事に嵌っているなと。魅力的で個性的なキャラクターが、互いに意地とプライドをぶつけ合う展開が面白くないわけがない。そう、それはまるでスタァライトのレヴューのように()

 

S

お兄ちゃんはおしまい! 

7話まで。最近(特に学校に入ってから)は普通の日常系と同じだなぁと思うようになった。いや、作画に関しては普通の日常系アニメの比じゃないくらいにすごいし、TS要素が効いてて明確に違う味は出ているんだけど、それでもやっていること自体はそこらの日常系と大差ないというか、むしろ4コマ原作でない分、ギャグのキレは劣っているまであるというか。

家の中に引きこもっていた頃はTS設定も色々と新鮮で、兄妹の関係性を軸に良い話も紡げていたと思うのだけど、6話以降、学校に話の中心が移ってからは物足りなさを感じることが増えた。あまりにも起伏がなさすぎるというか、普通すぎるというか、いい加減TSネタにも慣れが来てしまったというか。

とりあえず次回(8話)は作画回確定な布陣なので楽しみにしたい。

 

転生王女と天才令嬢の魔法革命

8話まで。現状1話がピークなのが惜しい。キャラは可愛いし、雰囲気や演出も好きだから、あとは話がもう少し盛り上がってくれたら……と。せいぜいまともなピークが5話くらいで、それすら百合としてはだいぶ露骨だから(尊いし好きだけど)面白味にはかけるという。

あと7話8話と話の論理が微妙なのも気になる。7話の講演(特に最後の方)は真剣に聞いても中身が意味不明で、雰囲気で受け取るしかなかったし、8話の暴論に理想論で対抗する言い争いも、説得力なんてあったものではなく。ようやく一区切りして実力勝負の段階まできたと思ったら、次回に話が続く……と。

今作に関しては、なんだかんだと”好き”の気持ちが強くて高めの評価をキープさせていたのだけど、流石にもうそこまでの作品ではないのかなぁということでこの辺りに。

 

虚構推理 Season2

19話まで。雪女編の導入部は本当に良かった。魅力的なキャラクター同士の、機知に富んだ掛け合いが楽しくて仕方なかった。その後でいつもの琴子の推理が聞けるわけで、そりゃ満足感も高くなりますよねと。

個人的に六花さん周りの話はあまり興味がなくて、単発のエピソードを連ねて行って欲しいところではある。ピノッキオの話はあっさり2話で終わってしまったけど、この後どういう話になりますことやら。

 

TRIGUN STAMPEDE

7話まで。ツイートでも書いたけど、展開の重さの割にカタルシスが弱すぎるのが問題かなと。ひたすら視聴者は負荷をかけられているのに、それに見合ったご褒美がなかなか与えられない。重たいばかりで心地よさがない。これでは評価されなくても仕方がないというか。

作品の構造上、一定の成果をあげるまでに、ヴァッシュが散々戦いを渋る様を見せられないといけないわけですよ。で、その先に明確な勝利があるわけでもなく、むしろビターエンドか現状維持と言うべき展開ばかりやってくる。

最新7話も、リヴィオとの対話がメインのエピソードかと思いきや、人格が戻った途端に自殺未遂して、何も解決しないまま、やりきれない終わり方をするわけじゃないですか。そしたらその先の暴走止める下りは、ただ巻き込まれたハプニングを解決しただけで、余計に課されていた重荷がやっと下された程度の感覚しかないわけですよ。これではカタルシスもへったくれもないわけで。

もう少し、エンタメとしての心地よさが欲しいなぁと思うこの頃でございます。CGの出来はマジでいいからなぁ……結局物語の部分なんよ。

 

D4DJ All Mix

6話まで。今作のCGの出来メチャクチャすごいんですよ。CGなのに表情がコロコロ変わるし、オバケ作画や手描き風のエフェクトも当然のように混ぜてくるし、1つ1つの日常芝居が尋常ではないクオリティしてる。だってCGって1つのデフォルメに対して1つのモデルを組み立てないといけないわけじゃないですか。型通りに動かすならいくらでもできるけど、それを崩そうとしたら色々な手間と工夫が必要になってくるわけですよ。そんな手間暇かかったCGアニメーションをほぼ毎回当然のようにぶち込んでくるって、サンジゲンさんどれだけ頑張ってるんですかと。

日本のCG制作会社の中でも、サンジゲンは”作画に近いCG表現”を突き詰められている会社だと思っていて、それが個人的にはすごく偉いと思う。結局日本人って手描きの作画に慣れてしまっているから、CGらしいCGってそう簡単には受け入れられないと思うのですよ(少なくとも自分の体感としては)。それにCGらしさを追求したところで、アメリカのとんでもない予算がかかっている化け物みたいなCG制作会社には敵うわけがないわけで。だから日本のCG会社が生き残るためには、大なり小なり日本固有の作画表現に歩み寄ることが必要になってくると思っていて。

その点、作画に近い表現をとことん追求しているサンジゲンの方向性は、すごく評価できると思うのですよね。

と、内容に関係のないCGの話を延々してしまったけれど。中身に関しても全体の流れがある上で、毎回キャラの魅力を引き出しながらストーリーを組み立てられて良いと思います。ライブもちゃんと毎回やってくれるし、6話の変化球すぎるエピソードも良かったし。評価されるべきかと言えば別に……ってところだけど、一応自分としては楽しく見れていますよということで。

 

僕とロボ子

11話まで。近年のショートアニメの中でもぶっちぎりで面白い。ショートアニメの理想形。

圧倒的なギャグの密度とテンポの良さ、直球すぎるパロディの数々。不快感のないキャラ造形が徹底されていて、笑いが邪魔されることもない。3分間にこれだけの面白さを詰め込めるのは本当に凄いと思う。もっと評価されるべき。

 

A

陰の実力者になりたくて!

中間、とは言いつつも最終回まで終わってしまっているので詳細な評価は最終評価記事に積み残すとして。

設定周りがごちゃごちゃしてて、なんか話の中身が分かりにくいなぁ……と思っていたら2クール終わってた。中二病ギャグ作品として楽しんでたからそれでも良かったのだけど。

作画は安定していて、さすがは中西さんという感じ。こみっくがーるずでも”一人絵コンテ演出作監原画回”を2話やっていたし、あの人のマンパワーはマジで異常だと思う。1人で何人分の仕事してるんだっていう。それでいて戦闘はちゃんと動いていて見やすいからまた凄い。

とはいえ作品としては、特段評価するほどでもないかなぁとは思う。安定して面白かったけど、ただそれだけでストーリー面で突き抜けるものは特段なく。まあこの作品の場合は、”I am atomic……”がべらぼうに面白かっただけ勝ちなのかもしれない。

とか書いていたら、2期も無事に決定しましたということで。おめでたい。

 

クールドジ男子

18話まで。雰囲気が好きなのでずっと楽しく見ている。ドジな男子たちが割と真面目に可愛い。ほっこりする。あとこの手の女性向けアニメにありがちなのだけど、モブの女性キャラが可愛い。声優さんも絶妙にネームド揃いで、毎回このキャラの声優さん誰だろう、って考えながら楽しんでる。ショートアニメなので、暇な時に気楽に流し見できるのも良い感じ。

 

REVENGER

7話まで。会話が全然頭に入ってこない……と思いながら見てる。出来自体はそんなに悪くないし、ストーリーが特別分かりにくいわけでもない。ただ今作の全てを理解するには、要求される背景知識が多すぎるとは思う。

例えば”唐人街”みたいなワードが注釈もなしにいきなり出てきても、歴史に素養のある人以外はピンとこないのが当たり前なわけで。役職名なんてさらっと言われても、何も頭に入ってこないのは当然で。一概に単語についていちいち説明すべきだとも思わないけど、もう少し視聴者に親切な作りを心がけてくれてもいいんじゃないか、とは思わないでもない。

戦闘シーンは最初はギャグにしか見えなかったけど、慣れてくれば案外普通に見れるもので、シリアスな雰囲気を保ったまま見続けられるようにはなってきた。話の内容自体もそこまでつまらないわけではないとは思う。ただ心の底から面白いと思えるか、大手を振って評価できるほどか、と言えばそこまでの作品とは思わない……という現状の印象。

 

痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。2

6話まで。安定はしている。1期同様に作画は良いし、キャラクターは可愛いし、相変わらずメイプルは化け物すぎて面白いし。ただずっと同じようなことをやっていて、起伏もクソもないような作品ではあるので、評価は上がりようもないという、ただそれだけ。好きな人にとっては延々楽しく見れる作品ではあるけど、客観的に見て評価できる作品かと言えばそうではない、という感じ。

ずっと同じようなことをやっていて安定しているという意味では、ある種サザエさんとかクレヨンしんちゃんと同類の作品なのかもしれない。

 

にじよん あにめーしょん 

7話まで。ミア・テイラーが可愛すぎて萌え。強がってるだけで永遠に可愛い。

 

B

NieR:Automata Ver1.1a

4話まで。普通に見ていてもあまり興味が湧かなかったので、YoutubeにあったRTA*1を見てみたら、これ多分ゲームの方がいいな……と思ってしまったのでこの位置に(RTAじゃ中身殆ど分からないじゃんとか言ってはいけない)(雰囲気と大まかな流れは分かるからまあいいかなぁと)。

今作見ていると、本当にただ眺めているだけだなぁという気分になるのですよね。赤の他人の大して上手くもないプレイ動画を、実況なしで見せられているような感じというか。

没入できるほどこの世界観について詳しくもないし、自分自身の手で探索できるわけでもないし、かといって実況のような+αのエンタメ要素があるわけでもない。それでゲームのシナリオだけそのまま見せられても、ゲームプレイ者の味わっていた面白さの半分も感じられないよなぁと。

結局ゲーム原作のアニメは、ゲームのシナリオをある程度大胆に改変していかないと面白くならないと思うんですけどね……それこそプリコネみたいに。

 

HIGH CARD

6話まで。安易に能力バトルやってた方が多分面白いよなぁと。毎回任務こなす方式にしてるけど、1つ1つのエピソードが絶妙につまらなくてげんなりしてしまう。設定は面白いし、戦闘シーンも一応それなりにオシャレでカッコいいもの作れているんだから、対立軸に沿って真っ直ぐ能力バトルしていれば良かったんじゃないかと。

それじゃどうあがいても少年漫画原作のアニメに勝てないでしょ、って言われちゃうとそれはそう。

 

大雪海のカイナ

6話まで。1クールのTVアニメは究極”全話神回であるべき”だと思うのですよ。1話1話の面白さを追求することこそが正義であると。例えば去年のアニメでいえば、リコリコ 、ぼざろ、水星の魔女、辺りはすべて1話単位の面白さに際立ったものがあったし、少し前に遡ればよりもいやゾンビランドサガなんかもその典型例。とかく1クールという短い尺の中で、視聴者に満足してもらえるエンタメを作り出すためには、1話単位の面白さを追い求めるのが最も手っ取り早い方法だと思っていて。

その点、今作は1話単位の面白さを一切意識できていないと思うんですよね。ただ淡々と1つのストーリーを追っているだけ。各話ごとのテーマもなければ、見せ場らしい見せ場も、ドラマ性もない。キャラクターを深堀りすることすら十分にできていない。物語を追って、それでおしまい。そんなアニメの一体どこが面白いんだと。

もっと言えば今作は、”メイドインアビスに何一つとして勝てていないオリジナルアニメ”だと思うんですよ。世界観は向こうの方が圧倒的に魅力的だし、生物の設定や生態系だってアビスの方がずっとよく考えられている。カイナにはっきりとした目的はないけれど、リコにはお母さんに会いに行くという確たる目的があり、アビスの底への計り知れない好奇心もある。相方枠もレグの方がずっと色々な設定を抱えていて、いくらでも話を広げられそうな魅力がある。映像のクオリティだってこっちのなんの強みもないCGよりは、アビスの作画の方がずっと良い。背景美術も圧倒的にアビスの方がいい。じゃあ今作ならではの強みって何?って聞かれても何も思いつかない。

漫画原作のアニメに何一つとして勝てないような平凡なオリジナルアニメなんて作られても評価しようがないのですよ。せめて何かしらの強い個性を備えてから出直してこいと。キャラクターにろくな背景描写もないロードムービーを1クールのTVアニメでやるなと。せめてこの設定でアニメを作るなら、中身を詰めて映画でやるか、逆に2クール尺とってもっと壮大な物語を紡ぐべきだったと、そう思う次第です。

 

総評

2022年は全てのクールでSS以上の評価の作品が出ていたので、今期は久々の不作という感じ。でもこれ以上に酷いクールは過去にいくつか経験済みなので、S+をつけられるくらいの作品が3作品もあれば、全然マシな部類かなぁと。むしろ去年の反動がこの程度で済んでくれるなら全然OKというか。

とかく「もういっぽん!」の存在は大きいですね。もういっぽん!に今期は救われてる。全然話題になってないし売れないんだろうけど、でもこういう作品を作ってくれるのは本当にアニオタにとってはありがたいので……。