2023年冬春クールに放送したTVアニメから良かった作画を10個選出…するつもりが言及したい作画が多かったので5個追加して15選に。それ以外の縛りはなし。
- 1.『お兄ちゃんはおしまい！』1話より 原画：中井杏
- 2.『お兄ちゃんはおしまい！』EDより 原画：鈴木典光
- 3.『もういっぽん！』4話より 原画：満田一
- 4.『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP』OPより 原画：前並武志
- 5.『スキップとローファー』OPより 原画：井上裕亮、小島明日香、瀬口泉
- 6.『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』OPより 原画：Vercreek
- 7.『【推しの子】』1話より 原画：卓子意
- 8.『スキップとローファー』1話より 原画：高橋沙妃
- 9.『天国大魔境』1話より 原画：榎本柊斗
- 10.『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』2話より 原画：三宮昌太
- 11.『天国大魔境』3話より 原画：榎本柊斗
- 12.『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』4話より 原画：？？
- 13.『天国大魔境』8話より 原画：伊藤香奈
- 14.『ONE PIECE』1062話より 原画：Chansard Vincent
- 15.『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』11話より 原画：超級豆仁
1.『お兄ちゃんはおしまい！』1話より 原画：中井杏
細やかな芝居づけが際立つシークエンス。何気ない仕草1つ1つが可愛いし、顔の角度や表情、手の芝居など、細部まで行き届いたアニメーションの完成度には目を見張るものがある。
このシーンの原画を担当した中井さんが今作放送時点でアニメーター1年目、しかもこれがアニメ初原画なのも末恐ろしい。若き才能に今後も要注目。
2.『お兄ちゃんはおしまい！』EDより 原画：鈴木典光
レジェンドの1人原画EDから、サビの一番狂気じみたところを。1人で描いているとは信じがたいような作画枚数と、それでいてきちんとメリハリのついた動きが楽しい。枚数の多さをいかんなく活かした超高密度アニメーションは圧巻の一言。
3.『もういっぽん！』4話より 原画：満田一
いわゆる作画アニメではない『もういっぽん！』。しかしリソースの配分は巧みで、満田一氏の担当シーンを筆頭に、柔道シーンでは時折目を引く印象的なアニメーションを見せてくれた。その中でも最も印象に残ったこちらを選出。
グルグルと回るカメラワークの中で、激しい組手の差し合いを描き切る。最初はゆっくりと回転するカメラが、キャラに近づくにつれて加速し、試合開始直後の静かな雰囲気から、ボルテージを最高潮まで持って行っていく。
4.『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP』OPより 原画：前並武志
ブラーを多用する走り作画は、非常に個性的かつ印象的。元々タメツメの効いた力強いアクションが特徴的な前並氏ではあるが、今回の作画は力強さはそのままに、動き全体の滑らかさも損ねていないところが素晴らしい。
トプロが手前に振り上げる手は太く力強い線質で描き出すことでメリハリが生まれる。三者三様の表情作画にも目を見張るものがある。
5.『スキップとローファー』OPより 原画：井上裕亮、小島明日香、瀬口泉
2人の関係性、青春の瑞々しさを鮮やかに映し出す。全身が映った重たいカットが大半を占める中でも、アニメらしい生き生きとした動き付けが為されているし、斜め下・斜め上などの難しい画角もそつなく描かれている。ダンスという演技の中で、ふと漏れ出る自然体の表情に思わず心揺さぶられる秀逸なOPアニメーション。
このダンスシーンについては別途記事も書いたので、そちらも是非。
6.『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』OPより 原画：Vercreek
しばらく原画担当者不明のままだったが、7月末に本人のツイートで判明。
髪の毛や服のなびき、身体の揺れ、果汁を舐める動作、全てが美しく連動している。生の律動の感じられる、完成された一体感のある作画。
7.『【推しの子】』1話より 原画：卓子意
動画工房生え抜き3年目、原画はわたてん劇場版に続いてこれがアニメ2作目、TVアニメでは初、というフレッシュな経歴ながら、『【推しの子】』では重要なシーンを数々担当して強烈な印象を残した卓子意さん、今回はその端緒となった1話のシーンから。
余裕のない、悪意と憎しみに満ちた表情付けは圧巻の一言。焦点の定まらない目の大写しに、凶行に及ぶ者の狂気が表れている。
8.『スキップとローファー』1話より 原画：高橋沙妃
『ワンダーエッグ・プライオリティ』のキャラクターデザインを担当するなど、その繊細な絵柄でCloverWorks梅原班の中でも際立った存在感を見せる高橋さん。そんな彼女のアニメーターとしての実力の高さを改めて実感させてくれる1シーン。
ボタンを留める、ネクタイを締める、髪の毛を結ぶ。細かな手の動作を誤魔化しなく描くことを要求される難易度の高い作画が、自然に描き出されているところに凄みがある。服のしわの作画も見事。
9.『天国大魔境』1話より 原画：榎本柊斗
特に鮮烈なパートは2か所に分かれているが、そのどちらもが白眉。何気ない芝居を生き生きと、かつ立体感を持って描き出した珠玉のシークエンス。リュックや服の複雑な造形、前後に動く肩の奥行きなど、一枚絵でも正確に描くのは大変そうな構図を、アニメーションとして破綻なく描きこなす才能には惚れ惚れさせられる。
10.『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』2話より 原画：三宮昌太
子供らしい生き生きとした、もちもちした作画が印象的。ギュッと握りしめる手の力感が良いし、アニメらしさに満ちた幅の広い芝居表現が目を引く。
11.『天国大魔境』3話より 原画：榎本柊斗
1話に続いての選出。1クール通じてコンスタントに作画されていた榎本さんだが、3話のアクションシーンは特に極まっていた印象。敵を前に果敢に挑む覚悟と恐怖、突然眼前に迫る死。捕らわれた手を見つめる主観のカット、逃れようと必死に足掻く作画が臨場感を高める。”迫真”という言葉がぴったりと合うシークエンス。
12.『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』4話より 原画：？？
バンジージャンプ中のキャラクターを、頭部の固定カメラ視点で描いたカットが珠玉。髪の毛や腕の動きは勿論、刻一刻と変わる光の当たり方を丁寧に描写することで卓越した臨場感が表現されている。リアリティの高さは綿密な取材の成果でもあるだろうし、それをアニメーションにきちんと落とし込む気力と技術力の高さを感じる良作画。
13.『天国大魔境』8話より 原画：伊藤香奈
情趣に満ちた作画。夕暮れの中、非常に丁寧な影の作画が生み出す卓越した質感に魅入らされる。自ら死を選んだ者の、覚悟の籠もった表情が印象的。
14.『ONE PIECE』1062話より 原画：Chansard Vincent
スケール感、エフェクト、作画枚数、全てが規格外な驚天動地のアクションシーン。背景動画が生む臨場感とスピード感、大規模戦闘特有のワクワク感、遊び心と外連味に満ちたエフェクト作画の満足感、全てが信じ難いほどに高い次元に纏まった長尺アクション。歴史に残る戦闘作画。
15.『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』11話より 原画：超級豆仁
繊細でリアリティに満ちた、水の描写に目を奪われる。現実を超越した挿入歌シーンでこそ発揮される発想力と、アイデアを画面に落とし込んで映画ばりに印象的な場面へと昇華させる、作画力と表現力の高さが際立つシークエンス。
選外
『もういっぽん！』1話より 原画：Kay Yu
『もういっぽん！』13話より 原画：満田一
『お兄ちゃんはおしまい！』OPより 原画：みとん(0:00 - 0:09)
『お兄ちゃんはおしまい！』OPより 原画：松隈勇樹(0:00 - 0:03)
『お兄ちゃんはおしまい！』1話より 原画：松隈勇樹
『お兄ちゃんはおしまい！』3話より 原画：Kay Yu
『お兄ちゃんはおしまい！』4話より 原画：坂浦譲
『お兄ちゃんはおしまい！』12話より 原画：内山玄基
『かぐや様は告らせたい-ファーストキッスは終わらない-』OPより 原画：？？
ダンスシーン（ノンクレジット）
『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP』1話より 原画：？？
『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP』2話より 原画：杉田柊
『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP』4話より 原画：？？
『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP』4話より 原画：rui
『天国大魔境』OPより 原画：伍柏諭
『天国大魔境』2話より 原画：小林恵祐
『天国大魔境』2話より 原画：Weilin Zhang
『天国大魔境』10話より 原画：五十嵐海
『天国大魔境』10話より 原画：吉成鋼
『【推しの子】』1話より 原画：あもーじー
『【推しの子】』8話より 原画：水野公彰
『【推しの子】』11話より 原画：卓子意（0:55 - 1:01）
『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』OPより 原画：？？
『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』OPより 原画：野中正幸
『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』OPより 原画：Weilin Zhang(張魏林),佐藤利幸,??
『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』2話より 原画：Muhammad Palmerwww.sakugabooru.com
『この素晴らしい世界に爆焔を！』10話より 原画：飯田悠一郎
『マッシュル-MASHLE-』11話より 原画：西岡忍
