『ガールズバンドクライ』のCGのどこに新規性があり、それでいて何故親しみやすいのか、日常芝居を中心に今までのセルルックCGや手描き作画と比較しながら、いち視聴者の目線で分析しました。
- 1. セルルックCGとは
- ⅰ. 特徴
- ⅱ. 発展の歴史 -セルルックCGの現在地-
- 2. ガルクラのCGは従来のセルルックCGと何が違うのか
- 3.ガルクラのCGはどうして視聴者に受け入れられたか
- 4. まとめ
『ガールズバンドクライ』のCGのどこに新規性があり、それでいて何故親しみやすいのか、日常芝居を中心に今までのセルルックCGや手描き作画と比較しながら、いち視聴者の目線で分析しました。
視聴前の印象をざっくり記載。左からタイトル、監督、制作会社の順。制作会社は制作協力が明記されている場合はそちらを記載。一部作品は省略。
続きを読む2023年夏秋クールに放送したTVアニメから良かった作画を10個選出。それ以外の縛りはなし。
2023年冬春クールに放送したTVアニメから良かった作画を10個選出…するつもりが言及したい作画が多かったので5個追加して15選に。それ以外の縛りはなし。
2023年に放送されたTVアニメのOP・EDから10個選出。特に縛りはなし。クール順でクール内は順不同。
絵コンテ・演出:渡辺明夫
楽しさに満ちたOP。色彩、カメラワーク、シチュエーション、全てにおいて自由でアイデアに溢れたアニメーションが弾けている。みとん氏の変態回り込みシャワーシーン、松隈氏のモニターからカメラが引いていく背景動画など、難易度の高い作画がさらりと組み込まれている点も見逃せない。
絵コンテ・演出:鈴木典光
驚愕の一人原画。鈴木典光ここにあり。”ヌルヌル動く”というのは必ずしも褒め言葉たり得ないと思っているのだけど、この領域まで密度が濃ければもはやヌルヌル動かすことに必然性すら感じられる。6人+1匹が絶え間なく動き続けるサビの作画はまさに狂気。
絵コンテ・演出:出合小都美
23年の一番を選ぶならこれ。2人の関係性を瑞々しくも生き生きと描き出したサビのダンスシーンはアニメ史に残すべき名演出。花で季節を表現した41s~の4カットなど、小物の使い方に出合監督らしさが光る。パステルな色使いや図形による装飾も楽しい。
絵コンテ・演出:山本ゆうすけ
ベタだけど、やっぱり外せない一本。キャッチーなメロディーもセンセーショナルな歌詞も、作品にマッチしているから、より素晴らしい。密度の高いカット割りで、豪華絢爛な参加スタッフの力量をきちんと活かした十全のOP。
絵コンテ・演出:沓名健一
最初のVercreek作画からして垂涎もの。髪や服のなびきには自然な精緻さがあるし、果汁を舐める動きの実在感はもはや芸術。
1つ1つのカットがスタイリッシュなカッコよさに満ち満ちていて、シンプルなルックも個々のアニメーターの作画力を際立たせる。カオスとカッコよさが絶妙なバランスで共存したOPアニメーション。
絵コンテ・演出:上田華子
子供特有の手足の短さと、それ故の元気できびきびとした動きを活かした、芝居づけ主体の音ハメが心地いい。サビ前のハイタッチシーンに各キャラの個性が生き生きと表現されているし、サビのダンスシーンは絶品。
絵コンテ・演出:Weilin Zhang
若き天才Weilin Zhangがその才能を如何なく発揮した珠玉のOPアニメーション。アニメーションの自由さを体現したような型破りなコンテが良いし、それでいて終末世界の無秩序な開放感やキャラクターの葛藤が的確に表現されていて、見入らされる。
絵コンテ・演出:小松和映
ルックも作画もシンプルでキュート。サビの鏡前ダンスは見ているこっちまで楽しくさせるよう。会いたい人に会う前にオシャレを頑張る女子の、乙女心に満ちた軽やかなEDアニメーション。
絵コンテ・演出:川越一生
『古見さんは、コミュ症です。』でもその才能をいかんなく発揮した川越監督が送り出す珠玉のOP。軽快なダンスが小気味よく、歌詞に合わせた振り付けもまた楽しい。混沌とした中にも統制の取れたサビのダンスシーンは圧巻。放送中に完成してくれて本当に良かった。
絵コンテ・演出:松浦力
影無し作画一枚絵の圧倒的なセンス。髪のなびきは優雅で美しく、細かなカットの挿入による音ハメも心地いい。くすんだ色彩やエロティックなカットの挿入がダーティーな雰囲気を作り出し、ジャンプアニメのOPとは思えないような質感が生まれている。
以下、惜しくも選外。
『かぐや様は告らせたい-ファーストキッスは終わらない-』OP ”Love is Show"
絵コンテ・演出:菊池貴行
アイデアの宝庫。かぐや様のOPは毎回テイストが違って飽きさせない。
『無職転生Ⅱ ~異世界行ったら本気だす~』OP ”spiral"
絵コンテ・演出:和田慎平
賛否両論あるかもしれないが、このOP曲は無職転生に相応しい素晴らしい楽曲だと心から思うので。和田慎平さんのコンテも良い。
『わたしの幸せな結婚』OP ”貴方の側に。”
絵コンテ・演出:廣江啓輔
初絵コンテ演出でいきなりこれはビビる。
『呪術廻戦 懐玉・玉折』OP ”青のすみか”
絵コンテ・演出:神谷雄貴
爽やかな青春、青の世界。後に失われるからこそ、美しい。
『呪術廻戦 懐玉・玉折』ED ”燈”
絵コンテ・演出:新井陽次郎
新井陽次郎さんの色使いが好き。
『デキる猫は今日も憂鬱』ED ”破壊前夜のこと”
動画は消えているけど、本当に動きは良かった。
『ONE PIECE』OP ”最高到達点”
絵コンテ・演出:石谷恵
ワンピースのOPはここ最近最高到達点を更新し続けている気さえする。
『五等分の花嫁∽』OP ”五等分の未来”
絵コンテ・演出:長田寛人
これぞ長田寛人。質感もカット割りもカメラワークも、彼にしか作れないであろうものがそこにある。
番外:TVアニメ以外のOPで良かったもの。
『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP』OP ”Glorious Moment!”
絵コンテ:山本健
演出:淵本宗平
端から端まで全部カッコいい。楽曲も映像もパーフェクト。
『Fate/Samurai Remnant』OP ”残夜幻想 feat. 六花”
絵コンテ・演出:温泉中也
温泉さんの絵がただただ上手すぎるOP。
2023年夏アニメの最終的な評価と感想。
SSS:(該当なし)
SS :(呪術廻戦 懐玉・玉折) 無職転生Ⅱ ~異世界行ったら本気だす~
S+:BLEACH 千年血戦篇 -訣別譚-
S:アンデッドガール・マーダーファルス ホリミヤ -piece- 百姓貴族 BanG Dream! It's MyGO!!!!! わたしの幸せな結婚
A:(該当なし)
B:(該当なし)
C:(該当なし)
正確には2クールものですが、懐玉・玉折単体のひとまとまりで評価しておいた方がいいだろうということで。
作画・演出ともに最高峰、過去編ということで内容のインパクトも強く、1期と比べても評価の高い章になりました。描かれる出来事が多い分、あっさりと過ぎ去る部分もありましたが、一方でここぞのシーンの存在感には凄まじいものがありました。特にわざわざEDを2回流してまで、殺される瞬間の落差を作った27話は出色の出来。五条覚醒時の天から光が降り注ぐ構図、夏油が闇落ちする時に足下に広がる暗色など、色彩や撮影を幅広く使った演出も魅力的でした。
この5話だけで評価するなら年間トップ5は固いと思わせてくれるような、そんな突き抜けた存在感と完成度を持った章だったと思います。
”人”を丁寧に描いた1クールだったと思います。失意から立ち直るルーデウスの心情も、シルフィのいじらしさも、1クールかけて丹念に描写を積み重ねたからこそ、2人が結ばれた瞬間の感動には染み入るものがありました。
特にルーデウスの内面の描き。彼の失意と絶望を理解させる上で、EDという、男性視聴者なら誰でも他人事ではなく、身につまされざるを得ない話題を取り上げたのが上手かったと思います。下の話題なんだけど、決してギャグとして腐せないんですよね。むしろ状況の深刻さと辛さがより生々しく伝わってくるというか。EDに1クールかけて真剣に向き合ったおかげで、ルーデウスの気持ちに深く寄り添えるような物語が構築できていたのだと思います。
話としては脇道に逸れるような、今後に繋ぐためのエピソードも多かった印象ですが、その中でもナナホシとの邂逅など、物語の核心に迫る回には見応えがありました。映像は序盤こそ苦しい場面もあったものの、おにまい終わりのスタジオバインド本隊が合流してからは、申し分ないクオリティのアニメーションが見られたように思います。作画だと、序盤で主要なアクションシーンの大半を担っていた邱家和さんの活躍、7話の山﨑匠馬さん作監パート*1などは特に印象深いです。
総じて1期ほどではないにせよ、内容アニメーションともに、十二分に満足度の高いアニメーションでした。恐らく原作の最後までやってくれるだろうと信じて、続きも楽しみに待ちたいと思います。
オシャレでカッコいい、今作の良さを最大限に引き出す画面づくりと演出は流石でした。1期ほど突き抜けたクオリティの回や話の大きな盛り上がりはなかったものの、地力の高さできちんと魅せてくれます。最終2話の零番隊の戦いなど特に象徴的ですが、原作にはないアニオリパートを挟んでくれるところも良かったです。原作勢に対するファンサービスとして魅力的なのは勿論、原作未読勢から見てもしっかりと面白い、アニメを面白くする上できちんと機能するようなアニオリを挟めているところに、今作の価値を感じます。
個人的な趣味の話だとバンビエッタがめちゃくちゃ良かったですね。そもそも見た目が突出して可愛くて、ストレス解消にイケメンを殺す一面もあってますます魅力的なのに、ゾンビ化してから更に可愛いですからね。虐める東山、虐められる竹達の構図はズルです。癖以外の何物でもありません。
結局のところ、竹達ボイスが虐められているのが好きなのかもしれませんね。秋クールはアウラが負けるところを何回も何回も見てニヤニヤしていたので……()
推理ものとして、ミステリー部分がよく作り込まれていました。特に最後に描かれた人狼編は、トリックも話運びも秀逸で、明かされた真実になかなか唸らされた記憶があります。また、畠山監督らしいアイデア豊富な演出も魅力的で、ミステリー作品という会話劇中心で画面が単調になりがちな題材を、飽きさせることなく魅せる画面作りには流石のものがありました。
キャラの魅力も光りました。落語調の言い回しが耳に心地いい津軽、ミステリアスで底の見えない雰囲気にともよ様の語り口が絶妙にマッチした鴉夜様、堅物でツッコミ役をこなしながら高い戦闘技術と長物で物語に華を添える静句。主要3人の組み合わせが良かったです。各々が個性的で、各人にしかこなせない役割があって、かつ掛け合いも面白い。この3人だけでいつまででも見ていられそうな安定感がありました。
反面、惜しかったのはキャラの多さ。この先も続いていく原作ならば許容できるキャラの多さも、1クールしかないアニメではどうにも要素がゴチャついているように感じられてしまいます。最終章なんて本筋の推理と全く関係ないところで敵と争わないといけなかったわけで、必要以上に物語がゴチャついてしまっていました。1クールのアニメという媒体に限って言うならば、短編の推理ものをただ並べ立てるスタンスの方が面白かったようには思います。
1期の合間を縫う方式でしたが、これはこれでストーリー要素の薄い学園ものとして楽しめました。原作17巻分を圧縮した結果、本筋の話が駆け足になってしまった1期よりも、楽しめた度だけで言えばむしろ上かもしれません。
元々キャラクターに強みがあって、掛け合いも面白い作品だったので、何気ない日常を中心に描いたことでその良さを存分に活かせていたように思います。ふとしたところでやたらカッコいい宮村とか、当たりきついけど乙女心全開な堀さんとか、純粋に可愛いレミとか、庶民派な良さがある吉川さんとか……。1クール分の積み重ねが前もってある分、キャラクターの紹介をする手間もなく、日常風景を集中して描き通せたのは間違いなく今作の強みでした。
卒業まできっちり描ききった構成もまとまりがよく、社内中心に安定した体制で作りきったCloverWorksの制作も見事でした。7話の石浜監督絵コンテ演出回などは、特に出来が良いので是非見てほしいところ。総じて程よい満足感のある作品でした。
普段触れることのない世界について、面白おかしく知れる楽しさがありました。1つ1つのエピソードが濃く、そして面白い。ショートアニメならではの密度感をしっかりと味わえる良作だったと思います。
今年は僕とロボコ、百姓貴族と3分ショートアニメに良作が多くて嬉しかったですね、気楽に見れて面白い作品の存在は本当にありがたい。
客観的に見て、それほど出来の悪い作品ではないでしょう。結局のところは、”刺さらなかった”が一番正しい感想なように思います。ギスギスした関係性の中に離れがたい良さを見出す、いわゆる”女女”の文脈に則った作品ですが、どうにも自分はギスギスは解消されるものであって欲しいようで、最後までその良さが理解できなかった節があります。また今作は”個”を大事にする作風で、良くも悪くもキャラクターに他人への配慮に欠けた行動を取らせることが多くありましたが、それも自分個人の主義と相性が悪かったように思います。
逆に”刺さった”のは曲。特に春日影は繰り返し何回も聞くほど好きな曲になりました。映像面では演奏シーンのみならず、日常シーンでも演出芝居ともに随所に工夫が見られ、CGアニメーションで生々しい実在感を上手く表現できていたように思います。
明確に批判すべきは最終回の構成くらいでしょうか。2期に繋ぎたい意図は理解しますが、「MyGO!!!!!」のアニメの本編で、「Ave Mujica」のライブをAパートの殆どを使って流す構成は、「MyGO!!!!!」の物語を求める視聴者に対して不親切でしょう。2期ありきがゆえに、CRYCHIC解散の詳細をこのクール中で明かさなかったのも、作品全体の評価を落とす要因です。
とはいえこれはバンドリというシリーズに囚われているが故の宿命であり、ある種仕方のないことかもしれません。今作が今までのバンドリシリーズとは一線を画す存在感を持った、唯一無二のオリジナル作品であったことは確かでしょうし、一定の評価はされて然るべきだと思います。
前半は良かったです。生家で蔑まれて召使い同然の扱いを受けていた美世が、久堂家に嫁入りして妻として認められる中で、徐々に自己肯定感を取り戻して人間として成長していく……。その過程が丁寧に描かれていたので、キャラクターの心情が理解しやすく、成長する様子にしっかりとしたカタルシスを感じられるような物語が構築できていました。当初は強い言葉で非難されたら謝ることしか出来なかった美世が、6話では刃物で脅されている状態でなお、自分自身のいたい場所をはっきり主張できるようになった……。その変化を感慨深く思った記憶があります。
一方で、後半の展開には惜しさがありました。まず6話まででせっかく美世が主体的に動ける基盤を作れていたのに、終盤の展開は受動的で、美世が選択をする場面がほとんどないんですよね。10話では薄刃家当主・薄刃新が、久堂家当主であり美世の夫たる久堂清霞に美世を渡すように迫る場面がありますが、このとき2人の当主は美世に意見を聞くことをせず、美世自身が進んで主張をすることもなく、最終的には決闘で決着をつけることが当主2人の一方的な判断で決まっていました。つまりせっかく6話までで美世自身が主張できる下地を作っていたのに、それを活かさず、自分の主張が出来ないキャラクターに逆戻りしてしまっていたんですよね。これでは成長物語としての主題が一貫せず、何を描きたい作品なのかぼやけてしまいます。
また、今作特有の”異能”設定も、同じように成長物語としての軸をぼやけさせていたように思います。後半からは異能や、異能を用いた怪異退治が作品のメインになっていくのですが、これらは美世を巡って争う男性側に強くかかわる要素であり、美世の成長にはほとんど関係がないんですよね。結果として、後半尺を割いて描いた異能関連の展開が、本筋と上手く結びつかず、主題の描きが停滞していた印象です。
最終的には夢見の力で昏睡状態の清霞を助けに行く流れになるわけですが、6話からここに至るまで、美世の成長は殆ど描かれませんでした。この主題の停滞がどうにも惜しくて、この位置になります。
全体に不作気味だったのもあって、完走数の少ないクールになりました。そもそも続編もの以外で完走したのがたったの4本ですからね。ダークギャザリングとかHelckとか見ておいた方が良かったかなぁと今になって思ったりしますが……見たとて結局2クールものだから夏アニメの評価には含められないという。
一方で続編は概ね満足のいく出来で、そこに救われた気がします。特に制作体制が一新されて1期のころとは全く違う魅力を持つようになった呪術と、1期ほどではないにしても質の高いアニメーションを送り出してくれた無職の存在は本当に大きかった。夏アニメはこの2作に支えられていたと言っても過言ではないでしょう。
それとMyGO。個人的に何が合わないのか、自分は何に嫌悪感を持つ人間なのかを常に考えながら、世間の評価とのギャップを論理で埋めようと必死にもがく1クールでした。夏クールで一番脳の容量を割いたのはMyGOだったんじゃないかと思うほどです。悩んで悩んで悩んだ末に、最終的にブログ記事に纏めるところまで辿り着けたのはせめてもの救いでした。結局こういう思考は一つの形に出力して区切りをつけないと永遠に終わりが来ないものなので……。
秋アニメの評価は1月内くらいに出せればいいなぁ……とか言いつつまた2月半ばとかに出してたらごめんなさい()