2022年冬アニメ 最終評価

17作品完走。

 

SSS:明日ちゃんのセーラー服

SS:その着せ替え人形は恋をする

S+:平家物語、ハコヅメ~交番女子の逆襲~

S:王様ランキング、異世界美少女受肉おじさんと、プリンセスコネクト!Re:Dive Season 2、からかい上手の高木さん3、怪人開発部の黒井津さん、リーマンズクラブ、86-エイティシックス- 第2クール

A:時光代理人 -LINK CLICK-、スローループ、鬼滅の刃 遊郭

B:錆喰いビスコ、イロドリミドリ

C:東京24区

 

 

SSS

明日ちゃんのセーラー服

傑作。画の美しさと独特の変態性(褒め言葉)を売りにした、原作の良さを全く損ねない最高峰の作画撮影、12話で16人のクラスメイト全員のキャラを立たせて、小路を中心にした青春物語として1クールで見事に纏め上げた脚本、濃いめのフェチ描写に高級感すら漂わせるほど爽やかで美しい演出、どこをとっても文句のつけようがない完成された作品だった。序盤こそフェチが前面に押し出されたかなりアクの強い作品だったが、後半に行くにつれて(アニオリの補完もあって)青春ものとしての側面が強まり、最終的には単なるフェチアニメの域を超えて、女子中学生の日常風景を鮮やかに切り取ったハイレベルな”青春群像劇”として評価されるべきものに仕上がっていたと思う。

アニオリの使い方も見事だった。要所要所で大胆に挿入されたアニオリは時にエピソードを上手く補完し、時にアニメ独自の良さを生み出してアニメ作品としての今作の完成度を劇的に引き上げていた。16人のクラスメイト全員を1クールで掘り下げるという離れ業をなしえたのも、アニオリエピソードを挿入する判断が出来たからこそ。特に7話の蛇森さん回は、全編アニオリでありながら、Moaangさんの繊細な演出と驚異的な日常芝居作画が光る今期のベストエピソードだった。

他にも劇伴だったり、構成だったり、OPED挿入歌だったり、褒めたいところはいくらでもあるけど、到底書ききれないのでこの辺りで。本当にいい作品だったので、いつか2期やって欲しいな……3年後とかでいいから……。

 

SS

その着せ替え人形は恋をする

ブコメにとって大事だと思っているのが”主人公に不快さがない”ことで、その点今作の五条くんは男性目線から見ても、変な嫌味のない、健全な男子高校生として描かれていたからとても見やすく楽しめた。またストレス源になるような要素は徹底的に省いているのも特徴的で、お互いの好きなものは決して否定しない、最初からカップリングが固まっていてドロドロの三角関係が存在しない、といった不快さとは無縁の作風がラブコメの楽しい側面だけを上手く引き出していたと思う。

また、言うまでもなくアニメーションも素晴らしくて、たかがラブコメにそこまでするか?ってくらいの女体作画や日常芝居が、原作の持つポテンシャルをこの上なく引き出していた。演出の補完も見事で、5話の電車内のシーンや、11話のラブホシーンは原作勢からの評判を見ても、自分の実感としても、非常に効果的で印象的な見せ場の作り方が出来ていたんじゃないかと思う。*1

惜しいのは5話で関係性が反転してから、五条くんと喜多川さんの関係性に大きな変化がなかったこと。二人のイチャイチャ模様はいわば甘いお菓子みたいなもので、エンタメとして摂取するには勿論美味しいけれど、6話から12話まで長々と食べ続ければどうしても飽きてきてしまう。乾姉妹が上手く味変として機能していた部分もあったけれど、姉妹がメイン二人の関係性に直接介入することはなく、退場してからはまた同じような甘いイチャイチャを見せ続けられたわけで……後半二人の関係に何かスパイスになるような劇的な進展があれば、もっと高く評価される作品になったんじゃないかと。

とはいえ5話までの展開は最高に良かったし、最終回には告白未遂をして最低限の進展は見せてくれたしでこの位置に。円盤売り上げ的には2期も期待できそうだけど……それは梅原Pのラインの今後の予定次第か。

(追記)2期決定!おめでとうございます。良い出来の作品がちゃんと売れて、ちゃんと続編作ってくれることほど喜ばしいことはない。

 

S+

平家物語

今作を単体でエンタメ作品として見たときに”面白かった”と言い切れるかどうかは微妙なラインだが、少なくとも古典”平家物語”のアニメ化としてはこれ以上のものはないと思う。膨大な枝葉のエピソードを上手く省略しながら平家一門の栄枯盛衰に焦点を当てた構成も、死に対する目線や無常観を上手く映像に落とし込んだ演出も見事だった。

全てが原作通りというわけではなく、アニオリ要素も多かったのが今作の特徴の一つ。その中でも主人公の”びわ”は、死者を弔い祈る語り部であると同時に、結末を知りながら物語を眺めるしかない視聴者の気持ちを代弁するキャラクターとしても機能していて、びわの存在によって視聴者が物語に入り込みやすくなっていたようにも思う。

話数としては9話、10話が特に素晴らしく、どちらも奥行きを意識させるようなフィルムづくりと要所要所のハイカロリーな作画が印象的だった。機会があれば個別に記事を書きたい……が流石に春アニメと大学生活に労力を割かないといけない今は厳しいか。

 

ハコヅメ~交番女子の逆襲~

映像面の魅力には乏しいながらも、純粋な話の面白さと声優陣の演技の魅力で1クール駆け抜けた稀有な作品。ギャグとシリアスをバランスよく配置しながら、重たい話題には真摯に向き合う脚本も、キャラクターにバッチリ嵌ったキャスティングも本当に見事だった。明らかにドラマ向きの内容なのに、飽きることなく面白く見られたのは声優陣の演技あってこそ。

特に若山詩音さんの演技は素晴らしかった。これまで若山さんと言えば、ダイナゼノンの夢芽やタクトオーパスの運命といったミステリアス系女子のイメージが強かったのだけど、今作では演じていたのはむしろ人間味全開の、感情ダダ洩れな役柄で、それがこうも嵌るのは驚きだった。今作を通じて若山さんの新たな魅力に気づけた気がする。

ギャグに関しても、大袈裟なツッコミをするでもなく、リアリティラインを外れたキャラクターを出すでもなく、純粋に会話の中で笑いを取っていくという相当レベルの高いことをやれていたのが良かったなと。本場の漫才やコントですらキャラクターの個性とツッコミの勢いで笑いを取りに行く時代に、ローテンションな会話から笑いを生み出し続けた今作の台詞回しとワードセンスは評価されるべきだと思う。

 

S
王様ランキング

1クール目は本当に素晴らしい作品だった。メインキャラクターについては必ず良い面と悪い面の両方を描くことで、人間味のある親しみやすいキャラ造形が出来ていたし、生まれつきハンデを抱えた主人公が初めて友達を持ち、旅に出て、周りの支えを得ながら立派に成長して王都に舞い戻るストーリー展開も魅力的だった。

それだけに2クール目の失速が痛い。戦闘シーンが大幅に増えて話の進行がただでさえ遅くなった上に、不死身のオウケンと”ヒーリング”の存在によって、どれだけ戦っても、敵味方ともに状況が変化しない状態に陥ってしまっていた。13話から21話まで話が殆ど進まないのでは自然と評価も落ちる。

また2クール目はミランジョが話の一つの軸となっていたが、彼女の悪行がダイダと結婚することでなあなあにされてしまったのもカタルシス不足に感じられた。ミランジョを許す展開自体は良いけど、もう少し説得力のある描き方が出来なかったものか。

一方、作画に関してはずっと良好で、線の少ない簡素なキャラデザがグリグリ動く映像は作画オタクにとって垂涎ものだった。特に御所園翔太さん絵コンテ・演出の21話はCGを上手く使った大胆なレイアウトとアクションのスケール感が特徴的で、今期のプリコネ2期4話に並び立つほどの、アニメ史上稀にみる圧巻の作画回だった。後半クールは内容こそずっと微妙だったが、この21話を生み出してくれたというだけでも価値はある。

 

異世界美少女受肉おじさん

典型的な低予算ギャグアニメだったが、低予算なりに安定したクオリティと、一癖も二癖もあるキャラクター達のおかげもあって、終始面白さが落ちなかった。TS転生ラブコメという特殊な設定を出オチ止まりにせず、友情や嫉妬、前世からの関係性を上手く絡めて、最終話の盛り上がりにまできっちり繋げていたのも好印象。

橘役M・A・Oさんの演技も、おっさんっぽさを確かに感じさせながら耳障りがよく、可愛げのあるものに仕上がっていて、作品の見やすさに一役買っていた。頭を空っぽにしてひたすら笑っていられる、今作みたいな作品が1クールに1本あると助かりますね。

 

プリンセスコネクト!Re:Dive Season 2

1期とは違って原作の設定やストーリーにかなり踏み込んだ内容。その割には全体に説明不足でキャラ数もやたらと多く、置いてきぼりを食らうシーンも多々あったが、最終決戦に関しては、分かりにくいなりにもしっかり盛り上げて、ハッピーエンドで纏めてくれていて良かったかなと。特に最低限、美食殿の4人の内面に関してはアニメ組でもざっくり理解できるくらいの分かりやすさで描いてくれていたから、ちゃんと戦う4人の熱量についていけた、展開に入り込めたのが良かった。

作画の素晴らしさは1期以上。回ごとに多少むらはあったものの、史上最高レベルに豪華なクレジットを披露した4話をはじめ、杉田柊、前並武志、坂詰嵩仁、山本健(以上敬称略)といった実力派若手アクションアニメーターを起用して作り上げられた要所要所のアクションシーンは見応え十分だった。日常芝居もハイクオリティなものが目立ち、映像面の満足度は総じて高かった。

あえて不満を言うなら、なかよし部の登場回くらいはキャラストーリーの回収とか考えずに、もっとギャグに振り切ったおふざけ回にしても良かったのでは?ってくらい。1期に比べればだいぶ評価は落ちるにせよ、言うほど悪くない2期だったんじゃない?とは思う。

 

からかい上手の高木さん3

高木さんが完全に”好き”の気持ちを隠さなくなった3期だった。その分、胸キュン度合いが増大しているエピソードもちらほらと。基本ずっと同じことをやっているようで意外と飽きが来ないのは、作り手が上手いのか、此方の感性が鈍っているだけなのか……笑。

最後は綺麗に纏めつつも、告白はせずに、続きは劇場版へ。このパターンは中二恋を思い出しますね*2。やっぱり今作の魅力は西方が攻めるフェーズにあると思うので、劇場版にもそれは期待したいところ。

にしてもTVアニメ3期も作った上に劇場版までやるとは、相当恵まれたアニメ化されてるなぁと。そんなに売れ行きなり世間の反応なり良かったんだろうか。

 

怪人開発部の黒井津さん

社会人ネタと怪人開発という独創的な設定を上手く組み合わせた良作。企業のブラックで不合理な側面が、個性豊かなキャラクター達を通じてコミカルに描かれていたところに独特の面白さがあった。キャラクターの関係性の描きも良くて、特に黒井津さんとウルフくんの関係はなかなかに濃い百合で至福の一品。中盤は会社の外に出る回が増えて失速した感じもあったが、今まで登場したキャラクター全員を活躍させて、大団円に持ち込んだ最終回の出来が素晴らしくて、だいぶ評価も持ち直した印象。

制作体制に恵まれず、途中かなり悲惨なレベルまで作画が落ち込んだのは残念だったが、もともと作画力をあまり必要としないタイプの作品で、評価の方にはそこまで影響がなかったのは救いか。

 

リーマンズクラブ

よく言えば王道、悪く言えばありきたり、を地で行くような作品。その中でも前半、営業や商品開発といったサラリーマンとしての仕事の部分を丁寧に描いていたところに良さがあった。社会人スポーツを題材とした作品だからこそ出せる魅力をしっかり出すことで、一般的な学生スポーツを描いた作品と明確に差別化できていたのは評価できるポイント。

バドミントンの試合展開や試合を通じたキャラクターの描きには、新鮮な驚きや圧倒的な感動こそなかったが、よく出来たバドミントン作画と王道の演出で、終始一定以上の満足感は味わわせてくれた。佳作。

 

86-エイティシックス- 第2クール

世間の評判ほどは嵌り切れなかった、という感想。最終2話でかろうじて良さを理解できたくらいで、それ以外、特に中盤から後半にかけては作品の熱量についていけないことが多かった。

原因としては、モルフォ戦で敵方の描写が圧倒的に不足していたこと、これに尽きる。敵は昔どんな人だったのか、フレデリカとどういう関係だったのか、なぜシンに対してそこまで恨みを向けているのか、この辺りの直接的な描写が何もないまま戦闘に入ってしまっていたから、物語に上手く入り込めなかった。端的に言ってしまえば、モルフォ戦の大部分=「誰かも分からないやつが何でか知らないけど延々殺してやるとか喚いているのを眺めさせられるだけのシークエンス」だった。これでは作品を楽しみようがない。無粋かもしれないが、台詞なしの漠然としたものではなく、台詞ありで直接的な描写もある分かりやすい過去回想を早い段階でやって欲しかったなと(フレデリカの過去も含めて)。そうしたら物語全体の理解度もかなり違ってきたはず。

それと2クール目はレーナの出番が足りなかった印象もある。出番を増やして、最終回に向けてさらに内面の描きを積み重ねていれば、最後の再会もより感動的になったと思う。*3

ただ間違いなく映像面のクオリティは素晴らしかったこと、16話*4のように満足度の高い回もあったこと、何より最後2話で描くべきことは描いて、アニメ作品として切りのよいところで完結させられていることを考慮してこの評価に。

 

A

よく出来ていると素直に思える回もあった一方で*5、トキの身勝手な行動にヘイトが溜まって気分よく見られない回も多々あった。最終回きちんと完結せずに2期に続く形になってしまったことで、十分なカタルシスを得られないまま終わってしまったのは残念。

ただ客観的に見て、決して出来の悪い作品ではなかったと思う。中国アニメの作画レベルが相当高いことは、羅小黒戦記などを通じて既に知るところではあったけど、今作でもリアル調の芝居作画は日本のトップクラスのアニメと遜色ないほどのクオリティだった。演出も的確で、制作陣の地力の高さが垣間見えた。

SFものとして見た時に粗が全くない作品だとは言い切れないけど、それもエンタメとして見るなら十分許容範囲内。トキに対して溜まったヘイトが尾を引いて評価は低めだけど、2期の存在込みで考えれば、基本的にはよく出来た作品だったと思う。2期もちゃっちゃと吹き替えて放送配信してくだされ。

 

スローループ

率直に言って、コメディ要素に期待すべき作品ではないので、キャラクターの内面の描きにどれだけ良さを感じられたかで評価がガラッと変わる作品だとは思う。自分はある程度の良さは感じつつも、キャラクターに上手く感情移入出来なかった、心の底から共感する、理解するとはいかなかったのでこの位置に。

一つ気になったのは主役二人が(性格的に)至って普通の女子高生なこと。等身大の心の機微を描くような作品ならまだしも、今作は基本かなり正統派のコメディ寄りきらら作品なわけで、ならもう少し会話から笑いにも繋げられるような個性強めのキャラ造形の方が良かったんじゃないかなと。

再婚絡みの重めの設定にしてもそうで、それだけ重い設定があるなら、キャラ造形や絵柄など、もっと重苦しい作風にした方が独自色のある面白い作品になったんじゃないかと。表面の設定だけやけに重くて、作風は王道きらら、っていうどっちつかずなスタンスが良い方向に働いていたとは思えない。

総じてキャラデザは可愛く、キャラの内面の描きにも一定の良さがある一方で、設定や作風の噛み合いが悪くて決め手に欠けるきららアニメという印象。ただアニメ制作側に落ち度があるとは全く思っていなくて、むしろ原作を丁寧にアニメ化した結果、原作側が元々抱えていた問題点がそのまま出力されただけな気もする。

二葉と藍子の百合はコテコテで非常に良かったです()

 

鬼滅の刃 遊郭

映像は間違いなく素晴らしかったが、正直それ以外に褒めるべきところがない。深夜帯に放送している完結済み作品とは思えないほど遅いテンポ感、戦闘シーンのスピード感を台無しにする長ったらしいモノローグ、シリアスを平気でぶち壊す原作再現ギャグシーンなど、アニメと原作の媒体の違いをまるで考慮していないかのような演出は目に余るものがあった。

そもそもアニメと漫画では表現方法がまるで違う以上、原作通りにアニメ化することがベストになるケースの方が珍しいわけで。今作に関してもモノローグが尺に対して長すぎるなら、ある程度選抜してカットすべきだろうし、ギャグシーンだって全てを丁寧に尺を取って再現する必要なんてなく、必要に応じて適当に流すなり、カットするなりすれば良かったはず。そういった工夫をせずに、ただ愚直に原作を再現することに終始したのは製作陣の怠慢では?と思ってしまう。なんでもかんでも原作通りにやればいいってもんじゃない。

さらに問題なのが、アニメ1期の時点ではちゃんとまともなアニメ化が出来ていたということ。ギャグ表現は控えめでシリアスを邪魔することはなかったし、話のテンポも(普通の深夜アニメ比では遅かったとはいえ)そこまで気になるほどではなかった。それが無限列車編の成功を経て、一般向けにシフトした結果がこの始末。ビジネスとしてはこれで良いのだろうが、いちアニオタとしては何とも言えない消化不良感の残る作品だった。

 

B
錆喰いビスコ

どこか明確に悪いところがあるというよりは、褒められるところが少ないアニメと言った方が正しいかもしれない。良かったのは世界観と設定くらいで、ストーリー、作画、演出、キャラクター、どこをとっても可もなく不可もなく。で、この位置に。

とりあえず延々黒革と戦い続ける展開はシンプルに退屈だったので、もうちょい何か工夫できなかったかなぁと。相討ちしてそれで終わるならともかく、姿を変えてさらに戦い続けた挙句、死んだはずのビスコまで復活するんじゃちょっと芸がないというか、ご都合主義がすぎるというか……最後きっちり大団円で纏めてくれたからまだ良かったものの。

あとそもそも空中戦含みの高難易度高カロリーなアクション作画が要求されるこの作品を、少数精鋭で1クール回しきるスタンスの今作制作陣に任せるのは無理があった説はある。

 

イロドリミドリ

狂気のない5分枠以下ショートアニメは駄作”というのが私の持論なのだけど*6、今作もその例にもれず。そもそも作画微妙だし、1話ごとの尺も話数も短すぎて評価に困る節はある。

 

C
東京24区

最後まで見ても何を描きたいアニメなのか全く分からなかった。1話の時点で既に死んでいたキャラクターともう一度最終回でお別れして(?)、全てが解決するってなんだよ。当時アスミのことを知らなかったであろう人まで含めて、24区の民衆全員が”大好き”を連呼する絵面は完全に宗教なんよ。それまでもガバガバな状況設定や、キャラ数だけ多くて散漫としたストーリー、終盤に入って突然ぶち込まれる”ネズミを見逃したからアスミは死んだ”という謎のトンチキ設定など、酷いところを挙げればキリがないような作品だったが、最終回でいよいよもって最高にクレイジーな駄アニメに昇華した感があった。

先行上映会で1話Bパートが完成していなかったという話を聞いても、伊藤公規さんのツイッター*7なんかを見ても、制作体制は相当苦しかったようで、つくづく救いようのないアニメだったなぁと。総作監さんの頑張りで大半の回はある程度まともに見られる出来になっていたが、おそらく現場は相当な地獄を見ていたはず。同期にやっていたCloverWorks2作品が素晴らしかっただけに、今作の悲惨さが余計に際立つ結果となってしまった。

 

総括

土曜夜のCloverWorksアワーの存在が本当に大きいクールだった。というか冬クールの楽しみは、ほぼこの1時間に詰まっていたと言っていいくらい。毎週土曜夜、明日ちゃんのスペースを聴いた後、ワクワクしながらテレビ前に張り付いて、内容を楽しんで、作画を楽しんで、クレジットを見てさらに楽しんで、さらに放送後には明日ちゃんのミニライブを見て……本当に幸せな1クールだった。

それとこのCloverWorks2作品に限らず、作画としては相当に豊作なクールだったなと。作画回が作画wikiに載せられているものだけでも全部で4つ*8あって、これは深夜アニメに限定すればおそらく去年の冬クール*9と並んで過去最多。2021年冬クールはかつてないほどの作画超豊作クールだったけど、2022年冬クールもそれに負けず劣らずの作画豊作期だったと思う。明日ちゃん、着せ恋、プリコネ2期、王様ランキング、平家物語と、作画めちゃくちゃいい作品が5作品も並行して放送しているなんてそんな現象なかなか起きてくれるものじゃない。良作に囲まれて、良作画に埋もれながら、本当にアニメを楽しんだという感覚の強い3か月間だった。

 

*1:トンネル内に入る→軋む車輪の補完、電気が消えて顔が近づくシーンの追加など

*2:2期で告白せず劇場版で告白

*3:レーナの出番が少なくて焦らされたから最終回の再会がより感動的になったんだ、とか言われてしまうと何も言えないが

*4:前半高密度の戦闘シーンをぶっ放して、後半はレーナ久々の登場、最後に砲撃を食らっての強烈な引き

*5:2話のラーメン回など

*6:ヤマノススメみたいな例外はあるが

*7:伊藤公規っぽい (@kiminori114514) | Twitter

*8:プリンセスコネクト!Re:Dive Season2 4話、明日ちゃんのセーラー服 7話、その着せ替え人形は恋をする 8話、王様ランキング 21話

*9:無職転生異世界行ったら本気だす~ 1話,11話、ワンダーエッグ・プライオリティ 3話、呪術廻戦 17話