2022年秋アニメ 中間評価

大体6話か7話までの評価。

 


評価

SSS:ぼっち・ざ・ろっく

SS :機動戦士ガンダム 水星の魔女 チェンソーマン 

S+:ヤマノススメ Next Summit Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ- BLEACH 千年血戦篇 風都探偵 モブサイコ 100 Ⅲ 

S:アキバ冥途戦争 ブルーロック 

A:クールドジ男子 陰の実力者になりたくて! SPY×FAMILY ポプテピピック TVアニメ―ション作品第二シリーズ アークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】

B:恋愛フロップス

C:(該当なし)

 

SSS

ぼっち・ざ・ろっく

自分の中の基準としてSSSは、”最終回まで見終えた時に初めてつける評価”っていうことにしているんだけど、ぼざろに関してはもう現段階でSSSの評価基準は十分超えていて、かつこれから落ちる気もしないので、もうSSSで良いでしょうと。

とにもかくにもアニメ化が上手すぎる。4コマの行間の埋め方、台詞の改編の巧さはきららアニメ史上類を見ないレベルだし、アニオリシーンはギャグもシリアスも原作理解度が異常に高くて、原作未読者の目線からはどこが原作通りでどこがアニメオリジナルなのかさっぱり分からない。”原作をアニメに変換する”作業があまりにも上手すぎて毎回感心するほかない。

CloverWorks梅原班は過去にワンエグ、着せ恋を作ってるくらいには元々良いスタッフの揃っているラインだけど、今作に関してはキャラデザの線が少なくデフォルメを多用できる作風もあって、アニメスタッフの個性がそのまま画面に出力されたような自由度の高い映像が各所に見られるのも良い。吉川知希さん、渡部さくらさんなど、今まで”名前はよく見るけど実際どのくらい凄い方なのかはいまいちよく分からないな”…って思ってた方が今作で目立った作画を見せてくれていたり、濱口明さんが久々に原画いっぱいやってるなぁと思ったらギャグシーンで暴れ回っていたり…そういう人単位でアニメを見る幸せを感じられる作品でもあり、でもそういう人とかいう視線を抜きにしても当然ギャグシリアスともキレッキレの素晴らしい作品ではあり…。もうとにかく全てにおいて完璧。日常系オタク、作画オタク、青山吉能さんのファンにとってこれ以上の作品はない。

あと曲良すぎ。今まで発表された結束バンドの曲全部好き。

それとぼっち・ざ・らじお良すぎ。青山吉能の一人ラジオほんと好き。レギュラー化して1年中放送して欲しい。というか「青山吉能のわくわくじゃんぼりー!」のレギュラー化いつまでも待ってる。

 

SS

機動戦士ガンダム 水星の魔女

印象的なシーンを作り上げるのが上手くて毎回驚かされる。1話の百合婚約、2話のダブスタクソ親父、3話のグエル告白…などなど。これだけ強い展開を序盤からバンバン投入できたらそりゃ面白いよなぁと。リコリコのヒットからも分かる通り、今の時代にアニメを売るために一番大事なのは序盤の面白さで、その点今作はメガヒットを飛ばせるだけの土台を3話までにしっかり固められていたのが素晴らしかったなと。

その上で6話から本領発揮してくるわけだけど、これがまたプロローグと相まって非常に面白い。元々ガンダムはシリアス、重い話が得意な作品だけど、今作に関しては重さをそこまで出してない段階でしっかりとした人気を獲得できているわけで。ここから重さを増して、さらにシナリオの強度が上がっていくならそれはもう覇権待ったなしでしょうと。そして実際問題今後の加速を予感させるに十分なくらいに設定は作り込まれていて、伏線も張り巡らされていて、キャラの数も過不足なくちゃんとキャラ立ちしている。全何クールの予定なのか分からないけど、全てを見終えた時、どういう評価になるのか今から楽しみな所ではあります。

 

チェンソーマン

基本的にこの作品、特に文句をつけるところはないかなぁと。ギャグシーンのテンポ感に関しては確かに序盤こそ微妙な部分もあったが、ここ数話、特に6話に関しては問題なく演出出来ていたと思う。(CGに関しては見せ方をもう少し改善して欲しいところはあるが)

というか6話が良すぎた。恐怖感と狂気の演出、追い詰められて正気を失って狂っていく人間の描き方が素晴らしかった。小紅がデンジを刺そうとして、アキがかばって、そしたら今までまともだった姫野先輩まで落ち着きを失って…っていうここら辺の畳みかけがたまらなかった。今作の実写志向の作風は、それこそホラー映画とかパニック映画みたいな内容になったときに抜群に噛み合うだろうし、6話はその片鱗を存分に見せてくれたのかなと。

そもそものクオリティと原作の評価は申し分ないわけで、演出面が噛み合えばどうあがいても面白くなるのは確定事項。6話の面白さが出来る限り持続してくれることを願いつつ、まずは次回、チェンソーマン状態での戦闘をどれだけ迫力あるものとして見せられるか、期待したいところでございます。

 

S+

ヤマノススメ Next Summit

もはやただのアニメーター博覧会。4話までは毎回のアバン新規パート、5話からは15分枠×2で座組を入れ替えて、それぞれに豪華アニメータを配置して自由に作らせる贅沢っぷり。5話で松本憲生一人作画をぶっ放したと思ったら、6話は松尾祐輔さん一人原画回でシナリオ含め素晴らしい短編だったし、7話に至っては前半斎藤圭一郎、後半ちなとかもう30分に詰め込んでいい密度じゃないでしょうと。

制作陣のツイートからするに、相当前から作られていた作品なようで、7話に関してはどうやら2019年後半~2020年前半くらいにかけて作られていた模様。つまるところ一部の回は2,3年前には完成していたわけで…そりゃクオリティも高いよなぁと(締め切りに追われていないという点で)。

放送時期がここまで遅くなった理由はよく分からない(ひょっとしたらコロナ関連で放送スケジュールがぐちゃぐちゃになったせいなのかもしれないし、単純に制作期間を長くとっていただけかもしれない)けど、まあそれはさておき。きちんと放送されてくれて、それがこれだけ素晴らしい作品に仕上がっている、それだけで大変喜ばしいことではございます。

 

Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-

空気感が好き。日常系アニメとはかくあるべきだと思わせてくれる。

キャラ造形も良い。どのキャラに関しても少しずつ二面性とか意外性があって、どのキャラから始動しても良い話を作れそうなポテンシャルがある。個性的で、属性もかぶらず、DIYという題材に対してそれぞれ明確なポジションが与えられている。

キャラデザも良い。最小限の線で影つけはなし、その分自由度が高くて、キャラの感情やシチュエーションに合わせた色々な芝居を受け入れてくれる。キャラクターを魅力的に描くことが最重要事項である日常系アニメにおいてこれは大きすぎる武器。

構成も良い。せるふとぷりんを安易にくっつけず、ひたすらに百合嫉妬ゲージを溜め続けている。これが解放されるタイミング、そしてせるふとぷりんがめでたくくっついた暁には一体どれほどの尊さを摂取できるのだろうと、今から楽しみで仕方がない。

とにかく日常系アニメとしての出来の良さが光る今作。脚本としては地味で威力の足りない面が目立つが、その分を今後のぷりんの描きで補ってくれれば文句なし。ポテンシャルは十分、あとは今後に期待するほかない。

 

BLEACH 千年血戦篇

内容は連載末期のジャンプ作品感が凄くて、殺したと思ったら実は死んでない、みたいな展開を平気で連発してくる辺りの引き延ばし感の凄さにはなかなか辟易する部分もあるけれど、シンプルに技カッコいいし、台詞カッコいいし、何より映像が凄すぎて脚本がどうこうとか全く気にならない。アニメとしての出来が恐ろしいほどに良い。こんな恵まれたアニメ化になるとは、原作ファンですら思っていなかったでしょう。

かくいう自分は原作15巻くらいまでしか読んでない人間だけど、もはやここまでアニメが上手いとノリで楽しめてしまう。ここからどこまで面白くなるのかは知らないけど、少なくともこの画面とこの演出が持続するのであれば、全4クールの長尺でも全然最後まで見続けられそうな気はする。

 

 

風都探偵

厳密には今期アニメではないけれど、今追っているので。そもそもBS放送が1クール遅れなのがおかしいんだ(丁度放送開始タイミングで実家に帰っていた勢より)。

アニメで大真面目に特撮やれていてとても楽しく視聴できている。そもそも元来特撮が好きな趣向はあって、最近こそ見ていなかったけど子供の頃はちらほら特撮ものを見たりはしていて、その頃のワクワク感をくすぐられるような感覚がある。仮面ライダーってこういうものだよなぁって感じさせてくれる良さがある。

シンプルにアニメとしてのクオリティも高いし、キャラ良いし、話面白いし、特に文句をつけるところもない。このまま突っ走ってくれ。

 

モブサイコ 100 Ⅲ

次回、伍柏諭回。モブサイコ2期5話という伝説的な神回の生みの親がついに再来。もうわたくしは楽しみでしょうがないわけですが…どういう映像出してくるんだろうなぁ。2期みたいに戦闘オンパレードみたいな雰囲気はしないけど、でも予告からして期待させてくれるものはある。

で、本編の話に入ると、2期ほどの凄みはないにしても流石の安定感だなと。超能力を持つキャラクター達もただの人間で、等身大の悩みや感情を抱えているんだって描き方は一貫して素晴らしい。能力でリアリティラインを壊しながら、内面の部分で視聴者の共感しやすい物語を作り出すことで、心に刺さるんだけど大規模で大袈裟で何でもありな物語が展開できるっていう、今作の良さは今期も変わらず出せてるかなぁと。8話でどこまでの爆発を見せてくれるか、楽しみにしているところでございます。

 

S

アキバ冥途戦争

6話見た時はここからがっつりシリアスなのかなぁと思ったけど、7話を見る限りはやっぱりシュールギャグ路線を貫いていくらしい。個人的にはもっとがっつりシリアス見たい気がするが…しょうがない。今の路線でも十分面白いのはそうなので。

もはやなごみがどういうキャラなのかよく分からない気がするが…多分それは意図的だと思っていて。なごみ自身が多分何も考えずにメイドになった人間で、その後の行動も全部その場のノリで、7話でいっぱしのこと言ってたのも多分その場のノリで…みたいな感性で見ておくと全体的に思考がすっきりする気がする。要は深いことを考えない方がいい、絶対。

話の芯はこれといってなく、キャラの掘り下げも甘く、制作側もとりあえずヤクザものにメイド要素足してみました、のノリだけで作っている感じもするけど、正直それでもぶっ飛んでて頭おかしくて、かつクオリティ高くて面白いからこれでいいんじゃないでしょうか。というかアクアトープみたいな半端なオリアニ作るくらいならこっちの方がずっとマシ。計算してリコリコみたいな傑作作れるならいいけど、そんな才能を持っているのはほんの一握りだけだと思うので(たまたま足立監督はそういう人だったけれど)。やっぱり凡人は可能な限り発想力をぶっ飛ばして、安パイを狙わない、振り切っていかれたアニメを作るべきだと思ったりはするのです。

 

A

ブルーロック

王道少年漫画。放送前の予想以上に作画の良いアニメ化ができてて感心。重たいキャラデザだが、動かすべきシーンはある程度しっかり動かせているし、期待通り止め画の延長線上で見せ場のシーンをしっかり魅せられているので特に文句もない。デスゲーム物が多少苦手なのと、王道少年漫画すぎて驚くような盛り上がりがないのがこの評価に留まっている原因に(個人的には)なっているが、この先展開がどんどん盛り上がってくれば自ずから評価も上がっていくことでしょう。

 

クールドジ男子

この手のアニメにありがち、”女子が可愛い”。

まあ勿論それだけで見続けているというわけでもなく。男子側も含めて絵柄とか会話のテンポ感とか、全体の雰囲気が好きだからこそ継続していたりはする。特に引っ掛かりを覚えることもなく気軽に楽しめるショートアニメはやっぱり貴重というか、1クールに1本くらいは欲しくなる存在ですよね。

 

陰の実力者になりたくて!

I am atomic...! なんだかんだギャグアニメとして結構楽しい。主人公がうざったいなぁと思うことはしょっちゅうだが、まあ戦闘し始めれば強くてカッコいいので。実力が伴っている無双はなんだかんだ言っても楽しいものです。映像面も安定感があっていい。というか中西監督のマンパワーが凄すぎる、多分。

 

SPY×FAMILY

完全に夕方アニメと化した深夜アニメ。夕方アニメも普通に楽しめるオタクならともかく、自分はあくまでも深夜アニメらしい深夜アニメを求めている人間なので、この手のファミリー向けアニメはどうにも守備範囲外なところはある。そもそも内容自体安定感こそあれ、そこまで面白くはないし、作画も安定はしているけどそこまで凄くはないし、演出に至っては安定志向そのもので冒険全くしなくなったし…。

1クール目の序盤は少なくとも多少なりとて深夜アニメ的な部分も多かったとは思うが、2クール目に入っていよいよもってファミリー層向けにシフトした感がある。これなら深夜でやる意味がない。とっとと夕方枠に移してくれ。そしたら多分見なくなるけど。

 

ポプテピピック TVアニメ―ション作品第二シリーズ

なんだかんだ普通に面白いとは思う。声優さんが分かるかどうかに面白さの大部分が左右される、とかそういう問題はあるものの、単純に大張さん呼んできてサンライズ制作のゴリゴリロボアニメやってくれたり、loundrawさん演出のアニメ作ってくれたりで、色々と満足度は高い。声優さんも嵌ればアドリブネタ楽しいし、中の人関連のネタも楽しいし、色々と楽しみ様はある。

6話のAC部で丸1話使う構成、後半山ちゃん贅沢使いも楽しかった。ニコ生でリアタイすること前提であれば本当に面白い作品だとは思う(評価するかは別にして)。

とりあえず一番問題なのはニコ動での配信がないことだよなぁ…こんなネタの宝庫みたいな作品がアマプラ独占とか、作品の味8割は死んでるでしょ。そんなに独占配信の金が欲しかったか…まあ欲しかったんだろうけどさぁ…ニコ動で配信することの意義を、今作に関しては見誤っていたようにしか思えない。

 

アークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】

3話まで。嫌いじゃないけど評価はされないよなぁ…という感想。いかんせん世界観が重すぎるし、介護される系主人公が嫌われるのはFGOがそうだったことからしても目に見えてるし、日本の深夜アニメファンが求めているようなエンタメは少なくとも提供できていないよなぁと。

ただ、分かりにくいってことはないと思う。個人的にはこれが分かりにくいなら「Serial experiments lain」みたいなのはどうなっちゃうんだよという感じなので。1話の時点でも最低限世界観や用語の説明はあったし、ソシャゲ原作だってことを踏まえれば世界観とか主人公の立ち位置だって何となく理解できてくる部分はあるわけで、原作ファン向けのアニメという側面は確かにあるにせよ、初見でもある程度理解できるようには作ってくれているのかなぁと。

問題なのは、それを頑張って理解してまで楽しもうという気概が沸いてくるほど話が面白いとは思えないのと、敵味方含めキャラの把握が全然追いつかないことの方で…こればっかりは設定が頭でっかちになりがちなソシャゲアニメの宿命という感じもする。全部が全部プリコネみたいな初見にも優しいアニメ化できるわけじゃないからなぁ…というかプリコネですら2期はちょっとソシャゲファン以外には厳しい感じになっちゃってたし。やっぱりクオリティ云々という以上に、脚本レベルでソシャゲのアニメ化は難しいなというお話です。

 

 

B

恋愛フロップス

3話リアタイせずに見たら、いやこれ実況なしじゃきついなぁ…となり、4話はニコ動でで見よう、と思ってコメントありで見たらそれでもきつくて、結果4話途中で一旦脱落することに。要は実質切り。何か動きがあったらまた見ます。

 

 

総括

自分にしては珍しく、評価の低い作品を一つ残らず切ってしまったのでもうある程度面白い作品しか残っていないという…比較的駄作でも継続してしまいがちなオリアニがめーちゃくちゃ両極端で、全てにおいて見る価値すら感じないレベルのものと、素晴らしく出来の良いものに分かれているから、ってのが理由としては一番大きいかもしれない。まあ視聴者側としては選別しやすくて助かるわけですが。

切った作品は、後宮の烏、うちの師匠はしっぽがない、転生したら剣でした、忍の一時、うる星やつら、4人はそれぞれウソをつく、悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました、新米錬金術師の店舗経営、虫かぶり姫…というラインナップ。映像的な魅力に乏しくて演出的にも突き抜ける要素がない作品と、ギャグが合わない作品が大半。転生したら剣でしたはノリが子供向けっぽすぎてきつかったし、うる星やつらは単純に演出やギャグのノリがきつかった。新米錬金術師は日常系好きに刺さると思いきや、あれはギャグがぬるくて日常系好きには刺さらないやつです。あの可愛さとゆるさでごり押しする系のラノベアニメはまた日常系とは少し違うジャンルの作品という私見は述べておきたい。

で、漸く総評に入ると、やっぱりぼざろの存在がめちゃくちゃ大きいなと。こんなに出来の良いアニメ自体がまずそうそうないし、しかもそれがたまたま大好きなきらら原作日常系で、制作陣がワンエグの頃からずっと好きなところで、さらに推してる声優さんが主演やってるなんてこんな奇跡そうそうない。他にもDIYヤマノススメ4期と、化け物みたいに出来の良い日常系アニメが2本、さらに(2クール以上の長期的な視点で見ないといけない作品とはいえ)水星の魔女、チェンソーマン、ブリーチと出来の良いアクション系作品もそろっていて、作画内容両面ともに上位勢はあまりにも充実しすぎているクールだなと。ここまで充実しているともはや1話1話情報処理するだけでも大変なレベル。

で、その反動からなのかなんなのか来期の2023年冬アニメは壊滅的なラインナップという…うーんこの。どうにかしてくれませんかねこの不均等っぷり…今期から何作品か来期に回して欲しいくらい。そしたら上の方のやつ多分大体覇権取れるから。